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二人が夜勤の時は、学校帰りに、晩飯の弁当を買って、持って行ってあげるのが決まり。
面倒だが、おつりは貰えるのでプラスにはなる。
「ハイハイ、いつものな」
俺がいつも買って持って行くのは、母さんの好きな[パリ・ブレスト]のケーキと、二人分の、定食屋の弁当。あとお茶くらい。
二人は買いに行く時間もないのだ。
「よろしくね!」
「ハーイハイ」
そっけなく返事して、朝ごはんを食べ終わると、すぐに家を出た。
父さんと母さんは、医者だ。
人の命を預かる仕事。
二人が働いている病院は、結構有名な総合病院で、理事長が父さん。
いわば、俺はあととりだったりするわけだ。
小学校から受験して、大学までエスカレーター式な俺は、高三になっても勉強はあまりしなかった。
しなくても、俺は成績が常にトップで、将来を有望視されていた。
大学では、もちろん医学部。
自分で強く望まなくても、きっと医学部に入れるだろう。
俺が、国定俊彦の息子だと言えば。
学校へは、電車通学だ。
駅で、電車を待つ。
電車が来る直前に、ここから線路へ飛び降りれば、痛みもなく一瞬で死ねるのだろうか。
いっそ、飛び降りてやろうか。
ひとおもいに―…。
「衆介くん、おはようっ」
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