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でもなんか、聞いたことある…。
うえむら…まなみ…?
誰だっけ。
つーか、よく見れば、見覚えのある顔。
愛美、まなみ……。
「まだ思い出さない?国定くん」
…あ。
こいつ、知ってるわ。
声のトーンを下げる。
「お前、あの時の」
「やっと気付いた?」
植村は小悪魔っぽく笑った。
こいつ去年の冬、忍に無理矢理連れていかれた合コンにいた女だ。
俺にしつこくまとわりついてきて、ウザかった女…。
そういや、愛美って名前だった。
「国定衆介くんとまた会えるなんて、ちょっと奇跡、みたいな?」
ウザさは変わってない。
ちょっと可愛い子ぶってるとこも、上目使いも苛つく。
吐きそう。
「話しかけんな」
きつく言い返して、植村が持ってるチューハイを取る。
「あんた、マジでうざいよ」
フンッと見下して、けなしてやれば、ちょっとは効くかと思ったけど、植村は全然余裕で、いたずらな笑みを浮かべた。
「マナ、国定くんが好きだもん」
―…好かれても嬉しくない。
マジでどっかいって。
一人にさせてくれ。
あぁ…サユ。
…会いてぇよ。
「シュウスケ~!酒はまだかぁ~」
忍の叫びが聞こえる。
「はぁーいっ♪今行きますよぉ」
植村が高い声を出した。
なんなんだよ、この女。
「国定くんっ!早く行かなきゃ忍のビンタが飛んでくるよぉ!?」
別に、飛んでこねぇよ。
うっとうしい…、と思いながらも、チューハイやらビールやら、いろんな飲み物を持って行く。
なんだかんだ、言うこと聞いている自分がバカみたいだ。
サユ……。
本当なら、今すぐにでも、君のところへ飛んでいきたいのに。
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