第四章∮別れて

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でもなんか、聞いたことある…。 うえむら…まなみ…? 誰だっけ。 つーか、よく見れば、見覚えのある顔。 愛美、まなみ……。 「まだ思い出さない?国定くん」 …あ。 こいつ、知ってるわ。 声のトーンを下げる。 「お前、あの時の」 「やっと気付いた?」 植村は小悪魔っぽく笑った。 こいつ去年の冬、忍に無理矢理連れていかれた合コンにいた女だ。 俺にしつこくまとわりついてきて、ウザかった女…。 そういや、愛美って名前だった。 「国定衆介くんとまた会えるなんて、ちょっと奇跡、みたいな?」 ウザさは変わってない。 ちょっと可愛い子ぶってるとこも、上目使いも苛つく。 吐きそう。 「話しかけんな」 きつく言い返して、植村が持ってるチューハイを取る。 「あんた、マジでうざいよ」 フンッと見下して、けなしてやれば、ちょっとは効くかと思ったけど、植村は全然余裕で、いたずらな笑みを浮かべた。 「マナ、国定くんが好きだもん」 ―…好かれても嬉しくない。 マジでどっかいって。 一人にさせてくれ。 あぁ…サユ。 …会いてぇよ。 「シュウスケ~!酒はまだかぁ~」 忍の叫びが聞こえる。 「はぁーいっ♪今行きますよぉ」 植村が高い声を出した。 なんなんだよ、この女。 「国定くんっ!早く行かなきゃ忍のビンタが飛んでくるよぉ!?」 別に、飛んでこねぇよ。 うっとうしい…、と思いながらも、チューハイやらビールやら、いろんな飲み物を持って行く。 なんだかんだ、言うこと聞いている自分がバカみたいだ。 サユ……。 本当なら、今すぐにでも、君のところへ飛んでいきたいのに。
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