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恋とは、ひどくはかないもので、大切に育てないとすぐなくなってしまう。
正直、俺の周りにはいろんな女がいるけど、俺が心を許しているのはサユだけだった。
これを恋と呼ぶのか、ただ楽なだけなのか、細かいことは分からないけど、きっと俺にとってサユは、心休まる休憩所だ。
めんどくさがりな俺に合わせてくれ、気を使わなくてすむ。
いつもはただ明るくて、子供みたいなのに、少年のような透き通ったハスキーな声音や、フッとこぼした笑みに、どこかおとなびた雰囲気が漂っていたり。
でも、行動や考えかたは、やっぱり14才の少女で、幼い。
可愛くて、愛しい。
サユが妹ならよかったのに。
それなら当たり前に、毎日顔を合わせて、同じものを食べて、何をするのも一緒で、遠慮せずサユに触れることが出来るのに。
サユを守ってやるのに。
…あぁ、たまらなく会いたい。
「国定くんっ」
植村が俺の腕に絡み付く。
「ちょっ、やめろよ」
振りほどいた。
きつい香水のにおいと、かすかにお酒のにおい。
振りほどいたときの衝撃で、植村の持ってるレモンサワーが俺にかかった。
「っくそ…うぜー」
「ゴメンねっ?国定くん、ほっぺにかかってる」
植村の唇が、俺の頬に触れる。
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