第五章∮理解

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恋とは、ひどくはかないもので、大切に育てないとすぐなくなってしまう。 正直、俺の周りにはいろんな女がいるけど、俺が心を許しているのはサユだけだった。 これを恋と呼ぶのか、ただ楽なだけなのか、細かいことは分からないけど、きっと俺にとってサユは、心休まる休憩所だ。 めんどくさがりな俺に合わせてくれ、気を使わなくてすむ。 いつもはただ明るくて、子供みたいなのに、少年のような透き通ったハスキーな声音や、フッとこぼした笑みに、どこかおとなびた雰囲気が漂っていたり。 でも、行動や考えかたは、やっぱり14才の少女で、幼い。 可愛くて、愛しい。 サユが妹ならよかったのに。 それなら当たり前に、毎日顔を合わせて、同じものを食べて、何をするのも一緒で、遠慮せずサユに触れることが出来るのに。 サユを守ってやるのに。 …あぁ、たまらなく会いたい。 「国定くんっ」 植村が俺の腕に絡み付く。 「ちょっ、やめろよ」 振りほどいた。 きつい香水のにおいと、かすかにお酒のにおい。 振りほどいたときの衝撃で、植村の持ってるレモンサワーが俺にかかった。 「っくそ…うぜー」 「ゴメンねっ?国定くん、ほっぺにかかってる」 植村の唇が、俺の頬に触れる。
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