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「衆介くんは?卒業したらどうするの?」
雅美が俺に問い掛ける。
「俺は…大学行ってから、親父の病院を継ぐ」
それしか、選択肢がない。
一本道な、人生だ。
「そっか…。お父さんお医者さんだものね」
「あぁ」
医者になりたくないわけじゃないけど、ひかれたレールの上だけを走るって、どうなんだろうか。
それも、責任のいる仕事。
俺に医者が勤まるのだろうか。
「今日は、俺の両親が夜勤だから、先帰っててな」
「はーい」
雅美はニッコリ綺麗に笑った。
爽やかな笑顔が、可愛い…というか、美しい。
雅美のことは好きだ。
雅美も俺が好きだ。
自惚れてるわけじゃなくて、告ってきたのは雅美の方だから。
可愛かったし、好いていてくれるならと、付き合いだした。
付き合うっていったって、一緒に登下校くらいだけど。
「衆介くんの誕生日、もうすぐだよね?なにか欲しい物ある?」
子犬のような…チワワみたいな瞳で、俺を見る。
「そうだな…雅美とか?」
俺は、口数は少ない方だし、人をからかったりはしないけど、たまに、恥ずかしい冗談とか言ってみる。
雅美は、顔をどんどん赤らめて、
「バカッ」
と言った。
バンッと背中を叩かれる。
照れ隠しだろう。
…にしても、痛ぇ…。
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