第一章∮出逢う

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すぐ近くにケーキ屋やら、花屋やら、いろんな店が立ち並んでいる。 俺はそこで、ケーキと弁当を買って、病院へ向かう。 病院までは、バスを利用し、30分ほどでつく。さっきまでのうるさかった駅前とは正反対に、静かで空気がうまくて、緑の多いところだ。 「おい、そこの高校生。ここは遊ぶとこじゃないんだぞ!帰りなさい」 病院に入ると、知らない男に声をかけられた。 パジャマのような格好からして、この病院の患者…だろう。 …五十歳代くらいか?少し老けているようだ。 「国定俊彦の息子だが」 少し睨みをきかせて、言ってみる。 「…あっ、そうでしたか!国定先生に御用ですか!?」 急に、俺にペコペコしだす。 この患者は、最近この病院へ来たばかりなのだろう。 たいていの患者は、俺を知っているし、俺も見たことがある。 「もういい、下がれ」 国定俊彦の息子なだけの、ただの偉そうな高校生のガキに、敬語使う、プライドがねぇオヤジを、軽くあしらい、理事室へ向かった。 コンコン… 「誰だ」 低い声が聞こえる。 「俺だよ、衆介」 「衆介か、入っていいぞ」 なんだか口調が柔らかくなった。 国定先生の口調ではなく、父さんの口調だと思った。 「すまないな、毎回」
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