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すぐ近くにケーキ屋やら、花屋やら、いろんな店が立ち並んでいる。
俺はそこで、ケーキと弁当を買って、病院へ向かう。
病院までは、バスを利用し、30分ほどでつく。さっきまでのうるさかった駅前とは正反対に、静かで空気がうまくて、緑の多いところだ。
「おい、そこの高校生。ここは遊ぶとこじゃないんだぞ!帰りなさい」
病院に入ると、知らない男に声をかけられた。
パジャマのような格好からして、この病院の患者…だろう。
…五十歳代くらいか?少し老けているようだ。
「国定俊彦の息子だが」
少し睨みをきかせて、言ってみる。
「…あっ、そうでしたか!国定先生に御用ですか!?」
急に、俺にペコペコしだす。
この患者は、最近この病院へ来たばかりなのだろう。
たいていの患者は、俺を知っているし、俺も見たことがある。
「もういい、下がれ」
国定俊彦の息子なだけの、ただの偉そうな高校生のガキに、敬語使う、プライドがねぇオヤジを、軽くあしらい、理事室へ向かった。
コンコン…
「誰だ」
低い声が聞こえる。
「俺だよ、衆介」
「衆介か、入っていいぞ」
なんだか口調が柔らかくなった。
国定先生の口調ではなく、父さんの口調だと思った。
「すまないな、毎回」
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