経過

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丁寧に断るも、その人もせっかく地方に出てきたのだから遊びたかったのだろう。 しつこく何度も誘ってきた。最初はやんわりと断っていたのだが、自分が断られるのが許せないのか、断られるわけがないのか、やたら自信満々で深雪も困り果てた。 とうとうきっぱりと断りだす深雪に対しても、全然くじけない。 困った深雪だが、この近くのお店情報は何も知らず、逃げ出す場所が思い浮かばない。 そして焦る気持ちで電話したのは、――朗だった。 「誰に電話してるの?」 「迎えに来てもらう友人が見つかったので」 「携帯、ちょっと貸してよ。ね、一件だけ付き合ったらタクシー代出してあげるから」 明らかに酔った雰囲気の男は、無理やりに深雪の肩を抱き、携帯を奪おうとする。 携帯を取られたら、どうなるか考えただけでも恐ろしく、深雪は抵抗した。 それに先ほどからと一件としつこく誘っているBARは、ラウンジ近くの色んなチャラそうな男の人たちが自分の店に勧誘しに道にうろうろしている場所。 そこのさらに奥にある、階段を降りて入っていくBIP専用のBARで、明らかに嫌な雰囲気でしかない。
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