38人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「えぇ!? もう駅着いちゃったよー!?」
長い髪を、ピンクのシュシュでまとめ、横に流し、
ピンクのワンピースに身を包んだ女の子は、携帯に怒鳴っていた。
周りで2人、心配げにその女の子を覗き込む。
「美嘉も由里も来てるのにー! へ?人数は大丈夫なの?……………うん。…うん。…分かった」
女の子は携帯を耳から離すと溜め息をついた。
「森って人から?」
「うん。彼女にバレたから今日来れないって」
2人が不安げに顔を見合わせる。
「でも、深雪! 今日の相手って森って人の先輩たちでしょ?」
「うん。今からその人たちの一人の電話番号送ってもらう。人数は問題ないって」
深雪、と呼ばれた女の子は、少し怒ってはいるが冷静に問題を処理していく。
森は、深雪の男友達の1人で、よく遊んでいたが、森に彼女ができてから疎遠になっていた。
森から先輩たちに女の子を紹介して欲しいと頼まれた時にも、まぁ森にしばらくぶりに会えるなら、と承諾していた。
「てかもう居酒屋で入って待ってた方が良いのかな?」
そう言った時だった。
『~~~♪』
深雪の携帯に着信が鳴った。
知らない、相手から。
それが、初めて朗と話した日。
まだ顔も知らなかった、友人の先輩朗と。
最初のコメントを投稿しよう!