始まりは突然

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言うなり教室を出ていこうとする碧衣を男の子が慌てて引き止める 「ちょっ、ちょっと待って!本気なんだってば!!」 「だからそれを莉麻本人に言えばいーでしょ!」 「言ってダメだったから君に協力してって頼んでるんじゃんっ」 会話を聞いての通り、さっきの告白は碧衣にではなく碧衣の親友である 白石 莉麻〈シライシ リマ〉にたいしてである 放課後、帰ろうとしていた碧衣を無理矢理男の子が引っ張ってこの教室に連れてきていた お願いだからこの通り! と手を合わせる男の子に碧衣は眉を下げる 「気持ちはわからなくもないけど…、一人に協力すると他の人全員に協力しなきゃいけなくなるから……」 ごめん…。と言い男の子を見ずに教室を立ち去る碧衣 後ろから聞こえてくる怒声に意識しないでため息が出てくる 「こんなに頼んでるのに!なんであんなのが莉麻ちゃんの親友なんだ!!あのブス…っ」 はぁ… ブスじゃなくて普通なだけだし…。心の中で呟きながらとぼとぼ廊下を歩く こう言われるのは初めてじゃない 莉麻と親友になってからはよく言われる 今みたいに協力やアドレスを教えてほしいと頼まれそれを断ると言ってくるのだ たしかに超美少女の莉麻と比べるとそうかもしれないけど… いくらどうでもいい男の子でもやっぱり女の子だし、"ブス"と言われるのはちょっと傷つく いつもいっしょに帰る莉麻は用があって先に帰っている なら気分転換に本屋寄ってその帰りにいつもは買わない高めのアイスでも買って気分上げよ。と考えているうちに下駄箱に到着 さっきよりは若干上がってるテンションのまま靴を履き、出ようとした時だった 「…相馬 碧衣、サン?」
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