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いきなり名前を呼ばれて反射的に振り向くとそこには男の子が一人
またか…。と思わずため息をつきたくなったがそれを飲み込み男の子に向き合う
学校でわざわざ碧衣に話しかけてくる男の子はある一人を除いて他全員が、莉麻目当て
だからこの男の子もそうだろうと思い、何であれ早く断わっちゃおうと男の子の言葉を待ってると
「えっと…。あの………」
口を手で隠し目線は碧衣を見ることなく斜め下を向いている
なかなか言い出さない男の子を
(早くしてくれないかな…)と碧衣はぼーっと見ていた
すると覚悟を決めたのか男の子は唇を一回強く噛むと小声で―、
「好き、です」
でもそれだけ言うと男の子は黙ってしまう。焦れったくなった碧衣はいつもなら自分から言うことはないが、今日はもう本屋に早く行きたかったので
「―で、あたしにどーして欲しいの?」
「…は?」
碧衣の言葉に男の子は驚いた顔をする
それを見て碧衣は不思議に思い
「え……莉麻が好きなんだよね?」
それを聞くと男の子は眉を寄せてはっきりした声で
「違う」
「じゃあなんで…」
本気で不思議がる碧衣を今度は男の子がじーっと見つめる
「…」
「…」
「…あの」
「は、はいっ」
沈黙を破ったのは男の子で
「なんか誤解してるみたいだけど…」
そこで言葉を切ると、さっきとは違い男の子は碧衣の瞳を見て
「俺はアンタが好きなんだけど」
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