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薄暗い部屋の中、もごもご布団が動いて、
その中から辛うじて声が聞こえる。
「ん~~~~~~、氷夢華、もうそんな時間かぁ…俺救急入って寝たのさっき………」
「うるせーなぁ、ババァ……気持ちよく寝てたのによぅ………」「お母さん…おはよ…はぅぅ…ねむいぃ~…さっきランニングしてきたとこ…………」「お母さん、おはよう。お仕事終わったんだ。お疲れ様。朝ごはん出来てるよ?」
アタシは問答無用で、1番目と2番目の声が聞こえてきた布団を踵で蹴りつけた。
「…兄貴…海生…アンタ、もう一回アタシの顔の前で言ってみなさいよ…
どうなるかわかってるんでしょうねぇ…」
アタシの言葉に、2つの布団がピタッと動きを止めたのを目の端に見ながら、その横で寝ぼけ眼の海里の頭をポンと叩く。
「海里。アンタ二度寝はいいけど朝練なかったの?」
「あっ!!いけねっ!!!」
慌てて、着替えて、食卓のパンをひったくるようにして口に突っ込み、
牛乳で無理やり飲み下して玄関へと走る、次男、海里【かいり】。
この子はサッカーが大好きで、いつも朝はランニングして、朝練行くのよね。
「コケるんじゃなわよっ!!」と言いながら、いつも練習で泥だらけで帰ってくるのがわかってるだけに、
あんまり意味ないなぁと思いながら、食卓に着く。
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