聞こえてくる声

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 コーヒーの香りにうっとりしながら、  「夜勤明けのコーヒーはたまんないわねぇ~~」と思わずこぼすと、  「お母さん、いつもそうやって言うから、ちゃんとコーヒー入れといたでしょ?」と返事が返ってくる。  このアタシにも兄貴にも似ても似つかわしくない性格の三男は、流青【ると】。  3人の中で一番出来て育った理由には、  同じマンションに住む、徳力一家とよく遊んでるというのが一番強いかな?  まぁともかく、我が家の中では一番気の利く、お行儀のいい息子に育ったよね。  「ほらぁ、お父さんも、お兄ちゃんも、早くしないと遅刻しちゃうよ?」  そう言って、布団を引きはがしにかかって、  兄貴は諦めたけど…ああ、また始まるよ、あれ…。  「…っるせーなああああーーー!!流青、てめぇ、さみーんだよ!!!  オレは今からまたゲームすっからいいんだよ!!!!」  「だめだよ、お兄ちゃん。  学校卒業できなくなっちゃうよ?先生だって心配すると思うし…。  ぼく、お兄ちゃん宜しくねってお兄ちゃんの担任の先生に頼まれたんだよ。  だって、お友達みんな卒業して、お兄ちゃんだけ残っちゃったら嫌でしょう?」  そのわきで、くせ毛の頭を片手でくしゃくしゃ撫でつけながら、兄貴(嵩継って名前なんだけど)が起きて、  アタシに向かって「お疲れっ」と頭をくしゃっと撫でる。  昔からの、兄貴の癖。  ちょっと思い出して懐かしくなりながら、  「起きるの遅いよっ、もうっ!!海生までその癖ついたら兄貴のせいだからねっ!!」  むくれて言うと、兄貴がため息をつきながら、  「それも俺のせいかよ…」とうなだれる。  だってそうでしょ。  だって寝方そっくりだし!!
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