43人が本棚に入れています
本棚に追加
「のっく、チョコレート食べよう?」
「食べる食べる!」
すーちゃんは綺麗にラッピングされたチョコレートをぼくに差し出した。
(いつものアーモンドチョコレートも美味しいけど、たまにはこういうのもいいよね)
ほら、すーちゃんの一言で一喜一憂するんだ。
そんなとこも、たぶんぼく今恋する乙女だ。あ、乙女じゃない、オトメン。
ぼくが悶々と思い詰めていると、すーちゃんに声をかけられた。
「のっく、調子悪いの?」
「ん?大丈ー夫」
ボーッとしてたからすーちゃんに心配されてた。
いけないいけない。
「そんなのっくに元気がでるおまじない!」
ちゅっ
「へ…?」
ぼくの頬には温かいすーちゃんの唇。
頭がついて行かない。え、すーちゃんから、ちゅう、ぼくに、ちゅう。(ぼくがバカだからじゃないはずだ!)
「…す、ちゃん」
「えへ/」
右のほっぺたを抑えながらすーちゃんを見る。顔真っ赤。ぼくも負けてないと思うけど。
「…すき」
「わたしも」
自然と言葉が出た。伝えなきゃいけないと思った。伝わらないと思った。恥ずかしさはあんまりなかった。すーちゃんが、応えてくれるってわかってたから。
口づけは甘いチョコレート味。
甘ったるいくらいがぼくらにはちょうどいいんだよ。
甘い甘いチョコレート、少しの苦味もたまには、ね?
(すきだよ)(知ってる)
【END】
最初のコメントを投稿しよう!