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カヲル君はさっきまでずっとポケットに入れていた手を片方だけ取り出し、ヒガンテに向けた。
『──その銘は打ち砕くもの。力の帯、鉄の手袋にて降り下ろす雷』
なんか詠唱しだしたwww厨二病乙www相手は死ぬwwwwww
「……!?その詠唱は……させるかッ!!」
ヒガンテが右ストレートを放つ。
『大いなる障壁<ワンダー・ウォール>』
少し遅れてまたもやATフィールドが現れ、拳を受け止める。
「詠唱を開始して防御魔法が解けたところにすかさず攻撃、か。悪い手じゃないけど、こっちがミスらない限りじり貧だぞ?」
カヲル君は詠唱を再開する。
『来たれ、巨人を討ち滅ぼすトールの戦槌よ』
「うおおぉぉぉ……!!」
ヒガンテの渾身のストレート。
しかしカヲルくんは、それを2、3mはあろうかという跳躍で回避した。
「危ない危ない、中々のパワーだ。でも惜しかったな。ちょっと遅い」
空中で回避の利かないカヲル君を掴もうと、ヒガンテは開いた手を伸ばす。
しかしそれも届かなかった。
『打ち砕け。雷槌<ハンマー・フォール>』
次の瞬間、ヒガンテの巨体を包み込むような電撃が奴の頭上から、特大のハンマーを振り下ろしたかのように落ちてきた。
雷を束にしてまとめたみたいな電撃が眩く火花を散らし、巨人の身体を焼き焦がしていく。
それを見ながら俺は思った。
これ夢だわ。
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