奈須きのこ「北斗神拳?知らないな……」

1/16
87人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ

奈須きのこ「北斗神拳?知らないな……」

緑色の閃光が空を切り裂く。 全くの的外れな方向へ放たれたソレは、遠方の時計塔を破壊した。 捻り切れる針、走る石塊。 それは何の意匠もない、純粋な、破壊。 「────フン、あらぬ方向に撃ちおって……最後の雄叫びをあげ花々しく散ろうということか」 金色の吸血鬼は嗤う。 ────否。 断じて、否。 私は識っている。 花京院典明その人間は、そのようなイミのないことを為さない。 考えろ、彼が伝えようとしたイトを。 考えろ、彼が遺したイシを。 時計を、壊す。 ────がちり、と。 時計を、止める。 ────パズルのピースが嵌まる音がした。 まさか。 彼の能力は、時を止める能力────! 自分の時の流れを加速し、相対的に外部の時の流れを遅くする魔術を使う者なら、いた。 しかし、完全に時間を停止させるなど、それこそ魔法の領域。 ディオ・ブランドーの名を冠する吸血鬼は、通常の魔術師何人分の魔力を要するかも分からない奇跡を、たった一人の身で再現してみせたのだ────ッ! 俺なにやってんだろ……。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!