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奈須きのこ「北斗神拳?知らないな……」
緑色の閃光が空を切り裂く。
全くの的外れな方向へ放たれたソレは、遠方の時計塔を破壊した。
捻り切れる針、走る石塊。
それは何の意匠もない、純粋な、破壊。
「────フン、あらぬ方向に撃ちおって……最後の雄叫びをあげ花々しく散ろうということか」
金色の吸血鬼は嗤う。
────否。
断じて、否。
私は識っている。
花京院典明その人間は、そのようなイミのないことを為さない。
考えろ、彼が伝えようとしたイトを。
考えろ、彼が遺したイシを。
時計を、壊す。
────がちり、と。
時計を、止める。
────パズルのピースが嵌まる音がした。
まさか。
彼の能力は、時を止める能力────!
自分の時の流れを加速し、相対的に外部の時の流れを遅くする魔術を使う者なら、いた。
しかし、完全に時間を停止させるなど、それこそ魔法の領域。
ディオ・ブランドーの名を冠する吸血鬼は、通常の魔術師何人分の魔力を要するかも分からない奇跡を、たった一人の身で再現してみせたのだ────ッ!
俺なにやってんだろ……。
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