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すると、足音がだんだんと近付いてきた…やはり、それなりには気になっているのかな…
子犬は隆弘の右手の匂いを嗅ぎ、今度は顔の匂いを嗅ぐと…フンッ!と鼻を鳴らした…何て失礼な奴だ…
今度は餌場の方に向かったのか、水を飲む音が聞こえる…よかった…とりあえず餌や水にありついてくれれば問題はない…
……名前…考えないとな…ハクに因んでみるか… いや…難しすぎる…さて…どー…する………考え事をしていると、そのまま眠りについていった。
…………………
夢をみた…
ハクと子犬が楽しそうに草原を走っている…本当ならこの光景は現実になっていたかもしれないな…
ハク…俺に力をかしてくれないか…お前ならコイツに何をしてやるんだ…俺はコイツに何をしてやれる…教えてくれて…
『ハク…』
隆弘が目覚めた時には、もう辺りは真っ暗だった…どうやら寝過ぎたらしい…寝返りをしていたのか、体が横に向いて丸くなっていた…
体を起こそうと腕に力を入れる………あれ?…なんか背中が暖かい…気になりそっと背中の方に顔を向けてみると…
『…全く…』
隆弘は思わず鼻で笑ってしまった。後ろには子犬が隆弘に寄り添うように丸まって寝ていたのだ。
『本当は寂しがりや…何だよな…』
隆弘は子犬を起こさないよう、ゆっくり体を起こし立ち上がる…そして子犬の餌場を見ると…
餌も水も見事に無くなっていた……コイツの名前…決まったな…何も無い器にまた餌と水を入れてやると、気付けば子犬はこちらを見ていた。
『よく聞けよ…お前の名前はペコだ!文句言うなよ!』
隆弘はビシッとペコに指を指しどーだと言わんばかりの顔をした…そのペコは不思議そうに首を傾げ、また眠りについた…
『…まぁ…いいべ…』
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