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『もし…駄目って言ったらどうするんだ?』
『泣きます…』
『卑怯だな…』
『卑怯でも構いません』
困ったお嬢様だな…確かに雪菜ちゃんは理想の女性だけど…だけど俺は…
『駄目だ…告白…したら駄目だ…』
『………そうですか…迷惑かけてごめんなさい…』
隆弘は険しい顔をし、雪菜の告白を断った。泣きますと断言した雪菜は涙を見せず、立ち上がり笑顔でさようならとこの場を去っていった…
誰もいない場所に隆弘は一人ずっと座っている…地面を見つめながら…
隆弘が呆けていると、無数の足音が近づいてきた…顔をあげ、足音の方を見てみると…突然、頭に凄い衝撃がはしった…
『アンタ何で!何で雪菜を…!』
真奈美…そうか…今コイツに殴られたのか…そもそも、コイツら隠れてやがったな…
『………』
『黙ってないで何とか言いなさいよ!また殴るわよ!!』
何も話そうとしない隆弘に苛立ちを抑えきれない真奈美は、また殴りかかるが孝雄に止められる。
『真奈美、落ち着け…隆弘にもちゃんと考えがあっての決断だろう。』
『孝雄の言う通りだ…隆弘が…理由なしに行動するような…男じゃないのは…お前が一番…分かってること…だろ…』
孝雄と章吾が必死に真奈美を説得する。真奈美も落ち着いて来たのか、静かに立ち尽くした。
『馬鹿だよ…隆弘は馬鹿だよ…』
泣きながら暴言を吐く真奈美…そんな痛々しい姿に孝雄達は何も出来ず、ただ無言で真奈美が落ち着くのを待つしかなかった。
真奈美はやはり怒りが止まらないのか、泣きながらこの場を走って去っていってしまう。
男三人が残され、孝雄が隆弘を立たせようと手をだす。そして…隆弘を立たせた途端、孝雄はゴツい拳でまた殴り倒した。
『これは真奈美を泣かせたぶんだ。』
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