パートナー・~告白~

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痛てぇな…コイツらに殴られると体中に響き渡る………心までも… 『ほらよ!もう殴らねぇから安心しろ!』 孝雄は再び手を差し出す。その中、章吾はタバコを吸いただ二人を見つめていた。 『隆弘、俺達はお前を責める気はないけどよ!でも理由くらいは聞かせてくれよ。』 殴っといて責めるつもりはないってか…あの拳は、真奈美の他に雪菜ちゃんのも混ざってた気がするぞ… 『…隆弘…お前…何を恐がってる…』 章吾にはお見通しか… 『自信がないんだよ…雪菜ちゃんを幸せにする自信が…』 二人には全てを話した。今は柔道や仕事に集中したい事…これから犬と暮らす不安…その中で、雪菜を幸せにする自信がない事… 『なら二人で乗り越えればいい事なんじゃないのか?』 『俺はきっと自分の事しか考えなくなる…それが恐い…』 『…あの子が…お前を捨てる子に…見えるか?』 孝雄…章吾…違うんだよ…俺はただ、あの子に悲しい想いをさせたくないんだよ…でも上手く伝えられない… 『…本当は…あの子の事…好きなんだろ…』 その通りだよ章吾…俺は自分の気持ちに気付いていた…でも、気付かないフリをした… 『今の俺に出来るのは、雪菜ちゃんの幸せを第一に考えてあげる事だけだ…』 『…本当に…それが幸せ…だと思うか…』 章吾の言葉に隆弘は俯く…両拳を血が出るほど握りしめ、隆弘は章吾達の言葉を聞くしかなかった… 孝雄は隆弘が凄く小さく見えた…隆弘のこんな姿を見たくない…だからこそ、この場を去っていった… 『章吾…お前も俺に見切りをつけて構わないぞ…』 『…誰も…お前に見切りをつけた訳じゃない…今は…皆、時間が必要な…だけだ…』 この場を最後に皆で集まることはなくなった… `
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