Act.2 Not try! Do or Not!

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 翌朝、翔は開店前のCat's Eyeのカウンターで朝食を食べていた。  「結局持って帰って来なかったのか?それだとあれは手元に戻ってくる保証はないんだぞ」  「大丈夫だって」  翔が食事に戻っていると、店の扉が開いて一人の男が入ってきた。  「悪いが今は準備中…」  「それはわかっているさ。用があるのはそこの彼だから」  「久しぶりっす、香川さん」  「ああ、君の実家に行ったらこっちに引越したって君のお姉さんが言ってたから」  翔の知り合いの刑事の香川だった。  「昨日の事件のニュースは…、もう知ってたか」  カウンターにあった新聞は昨夜の事件の記事の部分が開かれていた。  「摘発したのはよかったんだけど取引していたのはどっちも末端でね、本格的なルート解明までには至らなかったから持ち主に返すことになったんだけど…」  「既にいないから、身内の俺の所に持って来た」  「そういうことだ」  そう言いながら香川は翔にギターケースを渡した。  「係長がよく自慢してたからなぁ…、これはかなりのレア物だって。ジョージ・ハリスンのモデルだっけ?」  「いや、旧スタンダードっす。ところでどうっすか、一曲聴いていきます?俺、本職はリッケンバッカーだけど」  「ああ、ぜひ頼むよ」  翔はギターをケースから取り出し、演奏を始めた。  流れてきたのは特徴的なイントロの「Layla」だった。
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