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翔達の港高校での生活が始まって数日、やっと部活の仮入部が解禁された。
「さて、行きますか」
「おうよ!」
「僕達を待ってる所ですね」
翔は甲兵、シンホンとともに体育館に向かった。
元々バスケという共通の話題を持っていたせいか、3人は既に意気投合し一緒に行動することが多くなっていた。
「けど、攻撃ばっかしってのは心細い気がするんだけどな」
「Never mind、攻撃は最大の防御だぜ?」
「同感です」
雑談を交わしながら3人は目的地のバスケ部の部室に着いた。
「失礼しまぁす…」
翔が扉を開けた瞬間に目に飛び込んできた光景は3人を十分混乱させるものだった。
「!?!?」
「マジかよ!?」
「ば、場所合ってますよね…」
「あ、ああ…、ちゃんと確認したぜ」
扉にはしっかりと「男子バスケットボール部」と書いてあった。
しかし、3人が問題にしていたのは内装である。
「なぁ…、俺達にとって体育会系の部室のイメージって…」
「モノが色々押し込められたスチール棚があるよな…」
「プラスチックの簀の子が敷き詰められて、座るのは簀の子ダイレクトですけど…」
「そうそう、けどこれは…」
今、3人が見ている光景はそのイメージとは掛け離れたものだった。
隅々まで丁寧に掃除が行き届いてるところは目をつぶっておいていい。
しかし、木目調の棚や転がってしまえば即座に眠れてしまいそうな柔らかいソファー、多数の観葉植物の鉢、有名なメーカーのティーセットののったサイドテーブル等、どこかで使い古されたネタそのままだった(環境音楽のBGM付き)。
しかも人が少なかったが、残っていた人物が声をかけてきた。
「何しに来た」
「えっ…と」
「その…、俺らは仮入部に来たわけでして…」
「み、右に同じです」
「どうだ、この様子は?」
翔は即座にこの人物は今の部室の様子を嫌っていることに気付いた。
「All right、どうやらあんたはまともみたいだな」
「わかっているようだな。俺は部長の青海史朗だ、よろしく頼む」
「俺は緋村翔、よろしくっす」
「舘華甲兵っす」
「李信宏です」
「今年は4人か。鳴海が抜けた分はなんとかなりそうだな」
「へっ、4人!?俺達の他は…」
「…………」
振り向いた先にはもう一人、一見すると堅物な鋭い目をした少年がいた。
「あいつ確か俺らのクラスの…」
「戸羽剣悟だ…」
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