Act.2 Not try! Do or Not!

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 新宿にある落ち着いた雰囲気の喫茶店、それが"Cat's Eye"。  そして、そこは翔の今の住居である。  「戻ったぜ、オッサン」  「………」  「相変わらず無愛想なんだよ、だから客も来ないんじゃないのか」  実際に今店内にいるのは無愛想なマスター以外には翔だけしかいない。  「来たら来たで騒がしくなる、これでいい」  「ま、雰囲気壊れちまうからな…」  「ふん…」  「少し寝たら手伝うぜ、ここに住むのはそういう条件だろ」  「そういう暇はないかもしれんぞ」  そう言って無愛想な男は翔に写真を投げ渡した。  「……、こいつは…!」  「お前が探しているやつだ」  「親父のレス・ポールなのか…!」  「そうだ、奴が死んだ日に盗まれたやつだ」  「旧スタンダードはレアだからな…」  現在、翔の実家にいる身内は4歳上の姉と母方の祖父だけである。  3年前のある事件で彼は両親を亡くしている。  そして、その事件は今の翔の暗くなりがちな性格を形成した原因にもなっている。  「あの事件の手掛かりを見つけるためにも、あのレス・ポールは奪り返す」  「取引は今夜11時、やってみるか」  「スイーパーに見習いなんてない、やってみるじゃなくて、やるかやらないかそれしかないんだろ」  「………」  「なら答えはDoだ、やってやるぜ」  「そうか…、だったらこいつを持って行け」  カウンターに置かれたのは1丁の少々古ぼけた拳銃だった。  一目見ただけでどういうものか翔でもわかる程有名な型だった。  「コルトパイソン…」  「お前の親父が使っていた物だ、奴がいなくなる前の日に俺に預けやがった。お前が持っているグロックでは奴らには勝てん」  「……そういうものかよ」  「保険とでも思っておくんだな」  「だったら、お言葉に甘えさせて貰いますか」  翔はそれを手にした後、自分の部屋に戻っていった。image=417387630.jpg
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