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いつのまにか眠っていたせいか、翔が再び目を開けた時、時計は22:00を示していた。
ついでに、かけっぱなしにしていた音楽も終わっていた。
「頃合いか…」
寝床から身を起こした翔は先程渡された写真の裏のメモを確認した。
「品川の辺りか…、さすがに特定はさせてくれないようだ」
私服に着替え、壁にかかっている黒いコートを手にした翔は部屋を後にした。
ちなみに、このコートも彼の父親の遺品である。
かなり使い込まれ、多少くたびれていたり、翔自身の身長や体格のせいで少しオーバーサイズだったりするが、翔がスイーパーとして活動するときは覚悟のつもりで着ていた。
「行くのか…」
「あぁ」
「連中は俺に尻尾を掴ませなかった、それなりに腕があるということだ」
「わかってるさ、後は勘頼みだな」
「勘頼みか…」
「俺の勘は当たるんだぜ」
翔は店を出ると、タクシーを呼び、港へ向かった。
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