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「侑士ー!何、ぼ~としてんだよっ。まぁたトリップしてんのか?」
ダブルスの相方の岳人は、頭の中の『俺』の独り言が始まると、トリップしているとよく言う。
俺はソイツの独り言を聞き流す事を身に着けたので、ソイツが何かを呟いていてもある程度の作業は出来ているが、岳人に言わせると"眼"が何時もと違うらしい。
「どう言う風に違うのん?」と聞くと、少し考えて「解んねぇ」ときっぱり答えた。
何処がどう違うかは言葉では説明しにくいらしい。
気付かれたのは岳人が初めてだった。
ダブルスを組んでから少ししての事だった。
流石はパートナーと心の底から感心した。
後は滝とクラスが一緒になって、時々「忍足?」と不思議そうに呼ぶ時、ソイツが独り言を呟いている時が多い。
この2人以外には反応された事は無い。
「いい加減戻って来いって。新技試したいんだからよぉ」
「嗚呼・・・大丈夫やで」
俺は頭の中で未だに呟き続ける『俺』に意識的に耳を塞いだ。
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