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翌日、変わらずに貴方はいつもの時間に、いつもの席に座り、私はいつもの様に貴方にアイス珈琲を出す。
いつもと変わらない貴方と私……。
そして会話をすることなく、いつもの様に静かな店内。
ただ、カチャカチャと食器を片付ける音と、微かな音のBGM。
会話なんかなくてもいい。
欲なんて言わない。
貴方がこうして、私の珈琲を飲んでくれて、目の前にいるというだけで満足だ。
だから……お願いします。
貴方を見ていていいですか?
貴方を好きでいて……
愛していていいですか?
貴方はやはり変わらずに、いつもと同じようにカウンターに珈琲代を置き『ご馳走様でした』と言って、静かに店を出ていった。
カウンターに回り、お金をスラックスのポッケに仕舞い、グラスとコースターを手に取りカウンターの中へと戻る。
グラスは水を貯めたシンクに沈め、コースターはゴミ箱へと捨てた。
そしてあの人の席を見て、私は閉店の準備に取り掛かった。
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