file00_序章

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俺、二宮大樹(にのみやたいじ)は刑事をやっている。 そして、今から語るのは先週起きた事件についての話だ。 その事件のジャンルを簡潔に言うと、自殺になる。 自殺を事件と呼ぶのは少し大袈裟だと思われるかもしれないが、しっかりとした理由がある。 ただの自殺ではなく、集団自殺だからだ。 その数も半端なものじゃなかった。 数字にすると約108人になる。 約とつけたのにも理由がある。 それは、自殺場所が一カ所ではないからだ。 自殺場所は複数あり、それぞれの場所での集団人数も違う。 それらを1つにまとめると恐らく108人となる。 悲しいことだが、同日同時刻には事件と関係がないとされる自殺も何件かあった。 それらが事件と無関係だと判断された理由は2つある。 まずは、単独での自殺だったこと。 もう1つは、自殺をする際に携帯電話を握りしめていなかったことだ。 今回の事件に該当すると思われる自殺は、その数は統一されていないものの必ず複数人で自殺を決行していた。 また、なぜか必ず携帯を握りしめていた。 そして、その携帯には2つに折られたような形跡があり、その内の液晶部分を死体は握りしめていた。 もう半分の入力キー部分は現場のどこからも発見されず、それがまたこの事件を奇怪な事件へと変化させていった。
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