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「おい、中村。お前どう思う?」俺が唐突に中村にこう問いかけると、中村がキョトンとした顔つきで返事をした。
「何がですか?」
「いや、だから今回の事件だよ。原因は何だと思う?」
「あー。えーと、通報の内容がもし本当なら、自殺オフとかの可能性が高いんじゃないですかね。」
「何だって?自殺オフ?何だよそれ。」
「えーと。インターネットの掲示板かなんかで自殺したい人を募って、実際に会って皆で自殺しちゃうってやつですよ。」
「正気の沙汰じゃないな。」
「そりゃそうですよ。今から自殺をするって人が正気である方がおかしいじゃないですか。」
中村は少し俺を見下すような表情を浮かべながら言った。
中村忠明(なかむら ただあき)。
こいつは昨年俺の部署に配属になった後輩だ。
後輩といっても歳は1つしか変らない。
俺とコンビを組むようになったのは半年前からだが、コンビ結成直後中村にちょっとした事件が起き、非常にもそれが俺と中村との仲を良いものにしていった。
その事件とは、中村の彼女である佐藤亜里沙(さとう ありさ)さんの友人が殺害に遭うというものだった。
その事件を俺と中村が担当するとこになり、それが俺達コンビの初仕事となった。
中村は彼女の友人が殺害されたという事で頭に血が上り、とても手がつけられたものではなかった。
見ているこっちが悲しくなるほどだった。
しかしそれも、時が経つにつれて和らいでいった。
人の悲しみを癒す唯一の薬は本当に時間なのかもしれない。
落ち着きを取り戻した中村に俺はそっと手を差し伸べ、二人で事件を必ず解決するとこを決意した。
その事件は結局ストーカーらしき男性が犯人であるとこが断定したものの、その男性の行方を掴むことが出来ず、未解決のままとなっている。
中村の中ではまだ決着がついておらず、その事件の聞き込みや情報収集を熱心に行っていることは知っている。
もちろん俺の中でも終わっていない。
時効までまだ時間はある。
必ず解決してやるさ。
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