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これは今から8年ほど前の事になる。
仕事で広島市安佐北区のA団地に通う事になった。
広島市にできた団地としては一番歴史のある団地らしい。
近くに動物園もあり、なかなか活気がある団地だ。
俺はまだ、後に訪れる恐怖に気付くことはなかった。
仕事をする貸し物件に到着すると、荷物の搬入がされていた。
物件を探してきた社長がいた。
俺は物件を前に異様な感覚を覚えた。
「ここは・・・
マズイな・・・」
その佇まいは明らかに人の侵入を拒んでいるかのようだ。
「ここ、前はなんだったんですか?」
物件を探してきた社長に聞く。
「いゃー、前はスーパーマーケットだったみたい。
探すの苦労したよ(笑)
なかなかいい広さだろ‼ガハハハ」
・・・
社長、どこがいいんだよ‼
心の中でつぶやく。
少しでも分かる人なら絶対借りない物件だよ、ここは。
中に入ると2Fにあがるドアが荷物で塞がれている。
「これは?」
社長に聞くと、
「前のスーパーが潰れたとき、荷物もそのままだったから、業者に片付けてもらったんだよ」
積み上げられた荷物の中には明らかに在庫と思われる商品があった。
普通潰れるならこういう在庫は処分するはずだし、冷蔵庫や陳列棚なんかは売るはずたが・・・
しかも農協が経営するスーパーだったようだ。
薄く
「ク○アイマーケット」の文字がみてとれる。
個人経営ならともかく、農協が管理していたスーパーがこんな中途半端な形で店を閉めるとは・・・
更に社長に訪ねる
「いつ潰れたんですか?」
「まだ2年くらいらしいけど」
社長の言葉に更に違和感が募る。
2年しか経ってないわりに痛みすぎなのだ。
2Fがあるのに1F天井は雨漏りの跡?か、シミができているし、事務所は暴走族の溜まり場になっていたのかペイントの落書きが残っている。
「いやー(^O^)
安かったもんね~
頼むよ 今日から!(b^ー°)」
社長の能天気な発言に言葉を失う。
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