無題

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月に昇る時は、いつも、ゆっくり、ゆっくり。 近づいて初めて、凄く青い月だったって事を知る。 それは、よく知っている色。 ……記憶から消えない、消せない原色の青。 月明かりは、徐々にフラッシュの閃光みたいに眩しくなって、頭がきりりと冴えて、で、目が覚める。 枕は……、びちょびちょ。 知らぬ間に流した沢山の涙、耳の中にまで水分が侵入してキモチ悪くて……、もう、タオル無しでは眠れない程で。 ずっと、眠れない。 あれから1年、ちゃんと眠れていない。 医者の診断は、 睡眠障害……、「不眠症」だった。 .
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