都会の洞穴

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ここは青山。 もう、月なんて何処にあるか見当もつかない程、ネオンで明るくなった空は特に感情も見せず。 昔から世話になってる[安定剤]を求めて、半地下のBARへ足を向けた。 馴染みの重たい鉄のドアは、仲のいいトモダチと腕相撲をしてる様な親近感。 「こんばんはー。」 店に入る瞬間挨拶をしてしまうのは、もう長年のクセで。 言ってからカウンターの中にいる店主を見つければ、接客中だった。 謝罪の意味も込めて、軽く肩をすくめ、カウンターの席へと腰をかけた。 「いらっしゃい、中島くん。」 どんな時でも柔らかく笑うこのBARの持ち主、デニーさんがコースターとおしぼりを差し出してくれる。 .
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