都会の洞穴

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本名……、確か千尋、って言ったかな。なんでデニーって呼ばれているのかは、結構みんな知らない。 30代前半?年齢不詳のイケメンで、顎までの髪、気が向いた時に生やす髭、タバコを吸う仕草……、[男の色気]って、この人のためにある言葉なんじゃないか、っていつも見ていて思う。 首から背中のラインがね、特にその色気がむんむん漂っていて……、ってオトコの俺が言う事じゃないか。 ジンとタバコと音楽をこよなく愛するオトナなマスター。彼女の有無、不明。 「デニーさん、いつものー。」 「メシは?何かちゃんと食べて来た?」 おかあさんか。 作業している手を止めて、その表情は心配顔。 いつも気にかけてくれるこんな優しさは、毎回くすぐったい。 .
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