恐れられる社長

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  ある会社のオフィス。 そこでは、皆が必死でパソコンに向かい、空気がピリピリしていた。   なぜかというと…       コツコツ…   どこからか、靴音が響いてくる。それを聞いた途端、皆は、さらにビシッと背筋を正す。     ガチャとドアが開き、スーツ姿の男性が入って来た。    男性は、無言のまま、皆を見てまわる。 彼は、この会社の社長。     すると、彼はある場所で足を止め前にいる男性の肩を軽く叩いた。   彼は、パソコンに向かっていたがたまたま片手だけで打っていた。      肩を叩かれた男性はビクッとして振り向く。 社長は穏やかな顔で話しかけた。    「おはようございます。田渕くん君は何をしているんだ?」   「おはようございます、社長!私は…」     彼が言い切らないうちに、社長は放った。     「何度言ったら解る!!無駄な動きは一切やめろと言っただろう!!」   それは、思わず耳を塞ぎたくなるような大きな声。     「申し訳ございません!!」    「そう思うなら、行動で示せ!!」   「はい!!」     社長は、再び歩き出すと、今度は何かを紙に書いている男性のそばで止まった。    「!!」   その途端、彼は理由が解ったのだろう。すぐに、ペンの持ち方を変えた。   この男性、普段は少し変わった持ち方をしている。     社長は、男性に対しニコリと笑うと耳元でささやいた。   「次は無いと思え…!!1人の仕草が、わが社のイメージに繋がる事を忘れるな…」   「…はいっ」     社長は、返事を聞くと、再びコツコツと靴音をさせ、出ていった。    
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