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明朝。 仕事現場へ移動中、輸送トラックの中で輝一は幼馴染みの六兜(ろくと)一緒だった。 六兜は飴玉で片頬を膨らませ、弾倉の中身を確認している。 「なぁ、輝一。知ってっか、白腹(しらはら)さんの話」 「白腹さんて、あの白腹元大佐?」 「そう。なんでも、賄賂使って退職した後も処分されず、影で静かに生きてた事がバレたんだってよ」 「…あの白腹さんが賄賂かぁ。ま、そこまでしてでも死にたくない気持ちも、わからなくはないけど」 「でもよぉ、軍人なら潔く死ねばいいのにな。賄賂使ってた上にそれがバレちゃあ、軍人としての誇りも影もねぇよ」 「あ、思い出した。確か、白腹さんの銃殺刑って今日だっけ」 「今日つっても早朝だ。丁度今頃じゃねぇの?」 「あーいう大人にはなりたくないよね」 「そりゃそうだ。世の中金だ、なんてふざけた事言ってるウゼェ奴もいっけど、全部が全部、金がありゃ解決できるってもんでもねぇしな」
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