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弟子が師に問う。 「ヒトの生きる意味とは何ですか?」 何処を見ているのかわからない。 そんな虚無の目つきで青年は、銃口から立ち上る硝煙を見つめていた。 正確には睨んでいた、というべきかもしれない。 彼の握る銃身は、火傷しそうに熱い。 唐突な質問に、目の前の死体を処理しようとしていた男が拍子抜けした顔をする。 「…一つ聞いてもええか、輝一くん。君…もしかして今までそないなこと考えながらヒト殺してたん?」 「……」 「うーん…難儀な質問やなぁ」 片眉を上げ、男はトラックの荷台に死体を投げ込む。 ボロ雑巾のように動く死体の四肢が、嫌にリアルだった。
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