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五條か,,,,
他のクラスメイトのように転校生という魅力あふれる存在[最初だけだが]に素直に目をくれることに少し抵抗があった。
そんなわけでこの貴重な時間も俺一人がドアでなく窓に目をくれていた。
スタスタ
どうやら転校生は教室に入って先生の隣まできたようだ。
ここからは音声のみの実況中継となることをご容赦頂こう。
「かわいいっ」
「超美人」
「ゃっやばっ。
彼氏とかいるんかな?」
こちらはクラスメイトの反応。
転校生はかなりの美人のようだが、俺は動じることなく耳に全神経を集中させた。
「こらこら。静かにしなさいっ。五條さんに自己紹介してもらいますよ。」
ざわめく教室が先生の一言によって一気に静まり返った。
…というよりかは彼女[転校生]の言葉を待っているという方が正しいのかもしれない。
いよいよ彼女の口から言葉が発せられる。
「五條 鈴(ごじょう りん)と申します。」
…
…
えっ?
…
それだけっ?
もっと話す内容とかあるだろ
教室に居る誰しもが次の言葉を待ったが、空虚な時間のみが過ぎ去っただけであった。
そんな様子にあわてふためいた先生がすかさず合いの手を加えた。
「ごっ五條さんは今までイギリスにいたんだぞっ!英語もペラペラのようだ。みんなも困ったら五條さんに聞くといいな。…そうだよね?」
「…はい。」
「はは…
五條さんもきっとクラスにすぐ馴染めるから安心しなさい。みんなよろしく頼むよ。」
余計に空気悪くなってんじゃねーかよ。
つかあの女愛想ねぇーな。
まぁ転校したばっかりで緊張してるのかもな。
先生が焦って普段より一層ハゲ部分が光っている様子が目に浮かぶ。
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