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先生も時間を割くのはもったいないと思ったのか、転校生が気の毒だと思ったのか、それ以上は言及せずに空いてる席につくよう誘導した。
空いてる席というとドア際の一番後ろか俺の真後ろの席しかない。
どちらを選ぶにせよ、俺の隣というありがちな展開は避けれたため少し安心した。
もしそうなれば、窓際の席ゆえに授業に集中できず、外でやっている体育ばかり見てしまうパターソであったろう。
そんなことわ考えているうちに
足音が近づいてきた。
スタスタ
スタスタ
だんだん音が大きくなってきたので、多分真後ろの席に着くのだろう。
スタ………
……………
足音が止んだ。
……………
しかし
席に着く音がしない。
それどころか
教室は再び静まり返っている。
俺は…
かなり気になり始めていた。
同時に窓に向けた視線を教室に戻そうか悩み始める。
自分のポリシーを投げ捨て奴ら(クラスメイト)のように誰かに視線を注ぐというのは堪え難い。
しかし、今はそれよりも、この静寂な空気に背を向ける方が難題に感じる。
もちろんそんな自分の稚拙かつ愚かなポリシーだけが理由なのではない。
…感じたのだ。
重く闇(くら)く
どこか悲しい威圧感を。
この威圧感に包まれた俺は、少しの恐怖を覚えながら、それでもこの正体を知りたいという己の好奇心を抑えることができなかった。
重い沈黙の中
ついに俺は
ゆっくりと
顔を教室に戻した。
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