句呂白子

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句呂 白子(くろしろこ)は窓辺に設えられたテーブルで読書をしていた。 厠 近志著、便意の刻 今日行きつけの本屋で見付けた新刊だ。 表紙の斬新なデザインに一目惚れして思わず手に取ってしまったのだが、今回はどうやら当たりのようだ。 ふと向かいのピンクの屋根のアパートを見ると、まだカーテンのかかっていない1階の部屋に見慣れない男性がいるのが見える。 本に栞を素早く挿み、ヘッドフォンを装着して折り畳み式の携帯電話を開いた。
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