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目を覚ますと白い天井。
消毒の匂いと清潔なシーツ。
どうやら病院にいるらしい。
体を動かすと全身が痛い。
痛みにさっきの光景がフラッシュバックする。
「……なんで…なんで」
考えてもわからずぼーっとしていると、カーテンが勢いよく開かれた。
「大丈夫か! 悟」
飛びこんできたのは同じクラスのみんな。全員が心配そうな顔をしている。
「……なんとかな」
「ならよかった。でも信じられねぇよな! 野球部のやつら!」
怒りをあらわにして壁を殴る。それだけで充分嬉しかった。
クラスのみんなは俺の味方らしい。
「みんなありがとな。もう大丈夫だ。明日も学校いくからなー」
「おう! あとこれ、みんなで寄せ書き書いたから。まぁ、入院しなくても家に飾っとけ」
色紙にずらりと文字が書かれている。最初の一文字が大きく書かれ、そのあとに励ましの言葉が続いている。
こんなに嬉しいプレゼントはない。
「ほんとありがとう! やべ、泣きそうだから帰ってくれ」
みんなが笑い、手を振って帰っていく。
色紙を大切に自分のベッドの端に置き眠りにつく。
後から聞いたが母さんが血相かえて飛び込んできて、夜遅くまで傍にいてくれたらしい。
今日ほど自分が愛されていると実感した日はなかった。
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