無邪気な痛み

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「みんな! おはよう!」 頭に包帯を巻き、右腕をギプスで吊りながら元気に声をあげる。 だが、顔は一瞬で絶望に染まる 自分の席に置かれているのは花瓶に入った白い花。そして机には大量の『死ね』と書かれ文字。 「……み、え? これ…は?」 「みなさーん! ミイラ男が現れました。危険ですので近づかないでください」 混乱していると誰かが大声をあげた。振り向くと廊下から、にやにやとこっちを見るクラスのやつら。 代表として小学校から面識のある井上啓太(いのうえけいた)が一歩前にでる。目付きの悪い目をさらに細めて睨む。 「お前まだ生きてたんだ。てか、呪われたくないから帰ってくれねぇ?」 「……な、なにいってん―」 「はい、かーえーれ! かーえーれ!」 啓太が手拍子をうつとクラス全員もそれに合わせる。 かーえーれ! ……なんだよこれ かーえーれ! かーえーれ! ……みんなどうしちまったんだよ かーえーれ! かーえーれ! 鞄を掴み荒々しく教室をでる。 校門で教室を見上げるとみんなが、にやにやと笑い中指をたてるものもいた。涙をこらえ家へと走る。
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