無邪気な痛み

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誰かが幸せになれば誰かが不幸になる。 誰かが不幸になれば誰かが幸せになる。 これもこの世の理。 『先日、小学4年生の萩原悟くんが自宅にて遺体で発見されました。包丁で自らの喉を突き刺しての自殺。他にも体に痣や骨折が見られ、警察ではいじめが原因との検討をし、学校への調査が始まっています。また―』 部屋のテレビに映し出されたのは私をいじめていた首謀者。 死因は自殺。 あの男は自分でやってきたことにつぶされ、死へと逃げた。 すっと心が軽くなった。 私はいまでも生きてる。 苦しみと戦っている。 それに比べてあの男はなに? ただの弱虫じゃない 「……あははははは」 何年ぶりかわからないが今の私は確実に笑っている。 心の底から笑えている。 私は強い子なんだ そうだ。 明日は外に出かけよう。 何も恐れなくていい。 私は苦しみとずっと戦っていたんだもん。 ―バン 部屋の扉を勢いよく開け、お母さんに抱きつく。 母は驚きながらも、涙を浮かべて娘を抱き締めた。 ゙無邪気な痛み゙ これにて閉幕。
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