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―ピピピ
目覚ましを勢いよく止め、着替える。朝練があるため、毎日の朝ははやい。
「母さーん。飯は?」
いつも1階に降りていくと、朝食が用意されているはずなのに、今日はない。
「あー、今日はコンビニかどっかで買ってって」
千円札を机の上に置いて、足早に家をでていく。
特に気にせずにコンビニにいく。
手で持って食べれるものだけを買い、自転車をこぎながら食べる。
ふと、昨日の道にさしかかった。警戒して周りを見渡すも特に異常は見当たらない。
ほっと胸を撫で下ろすと、軽快に自転車をとばしていく。
「くく、いつまで堪えれるかな?」
電柱の陰から帽子の男が姿を現し、不気味に微笑んだ。
「おーっす。みんなぁ」
いつものように陽気に手を振りながら部室に入っていく。
だが、みんなの反応はいつもと違った。
視線をむけるだけの者や、完全に無視をする者。明らかに様子が違う。
少したじろきながらユニフォームに着替える。
「おらぁ! どうした萩原、遊びならよそでやれ!」
キャプテンの佐藤泰明(さとうやすあき)が怒鳴り声をあげる。
いつもの倍は距離のあるノック。しかもそれは悟のときだけだった。
部員のみんなもにやにやと笑うだけで、誰一人として悟を助けようとするものはいなかった。
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