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「運動会で必ず一位になってやる!」
僕が今、本気で走る練習しているのはこの言葉から始まっただろう。
1週間前、夏休みも終わりに近づいたころ、ぐうたら昼寝してたら母親に掃除機で顔を吸われた。
「いつまで寝てるんですか~」
無視しようとしたのだが、思った以上に母親の掃除機攻撃がしつこかったので、僕はゆっくり起き上がった。もちろん気持ちはブルー。
「夏休みで、こんなに天気もいいのに。昼寝なんてもったいないわ!」
母親が外を見ながら言う。正論である。しかし、僕は外で遊ぶのは嫌いなのだ。運動オンチだし。
露骨に嫌な顔をした僕に、母親は優しく諭すように言った。
「信二。確かにあなたは運動嫌いだよね。それは分かってるの。だからこそ知らない」
「知らないって…何を?」
母親は少し間を置いて答えた。
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