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「それはね、何かを成し遂げる快感、よ」
そう言われても僕はピンと来なかった。
「例えばスポーツなんかで、勝つために練習したりいろいろ考えたりする。それは楽なことだけじゃない。辛いことや、苦しいこともある。それを乗り越え、やっと手に入れることができる"勝利"。その時のなんとも言えない清々しさが想像できる?」
僕は想像できなかった。そもそもしたくもなかった。分かるわけがないのだから。自分の体を張って掴みとる栄光なんて、まともに運動してこなかった僕に分かるはずがない。
いつもなら聞き流していたかもしれないが、この紛れもない事実から目を背けるのがもう嫌になってた。
そして真剣に考え、至った結論がこれだ。
「僕も、変わりたい!その気持ちを、味わってみたい!」
母親は最初は驚いていたが、僕が真剣だということが分かると、笑顔になった。
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