第一章

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「おい!待てよ!ちはるぅー」 カチャカチャと自転車に鍵をねじ込み、隆太があとを追ってくる。 5月も下旬。 そろそろ暖かくなってきてもいいはずなのに、自転車に乗っていると手が冷たくなる。 「寒いなぁー隆太肉まん買ってよ」 「うーん。もし売ってたらいいよ。今の時期ないとおもうけど」 横に並んで二人で自転車で帰る。 これがいつもの帰宅パターン。 隆太が毎日「帰ろう」と誘ってくるから、という理由もあるが、私はこうして隆太と二人でのんびり帰るのが好きだ。 マンションも同じであるため、小学校のころからずっとこうして二人で並んで帰っている。 信号、赤。 「あぁー手寒い。」 小声でつぶやいた私に隆太が言った。 「あ、じゃあさ。」
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