第一章

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「俺の手あったかいよ」 隆太はそう言ってハンドルを握る私の手に自分の手を重ねた。隆太ファンが見たら私は殺されてしまうだろう。 「うわぁ。温かい」 「逆に、ちはるの手ェ冷たすぎ!氷の手!こんな冷たいモノ初めて触った!」 隆太はそう言ってすぐに自分の手を引っ込めた。 「隆太の手、切り取ってゆたんぽにしたいわ。」 「グロいから、やめろ。」 「もう一回!人間の手の温もりを‥‥!」 私は隆太の手をもう一度握ろうとするが、隆太はポケットに手を突っ込んでしまった。 「いじわる。」 「はははっ。じゃあさ、俺が喜ぶことしたら握らせてあげるよ。」 楽しそうに隆太は笑った。
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