《寝れない彼》

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真珠荘は家主が住んでいる101号室からまだ住居者がいない310号室までの30ほど部屋が建て付けられている。 彼は、その102号室に住んでいた。 「もう2時か……」 彼の特性は眠くもならないし、身体も眠るという行為で休めなくても横になってれば簡単に回復してくれるから、それについてはあまり苦痛ではない。 しかし、他の皆が寝ているはずの時間帯に寝れないというのは暇で暇で仕方がなく、どうにも手持ち無沙汰になって嫌だとは思っている。 学生なんだから、その時間を勉強に使えばいいという発想は彼にはなかった。 ゴロゴロとぐうたらしながら時間は過ぎ、午前6時。 「あー、そろそろ起きるか」 彼は一人でアパートに住んでいる。通っている高校は実家から遠く、いちいち電車など通うよりかは近くに引っ越した方が安上がりだという親の判断。 近所付き合いも良くできているから、中々快適な生活をおくっている。
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