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「ふぅ…、逝ったか。惜しいヤツを亡くした」
タケルは燃え尽きて黒焦げになっているユータに向かい手を合わせます
タケルに近寄ってくるナナミとマリコ
「あんたももっと訓練しなさいよ?さすがにユータのあの状態を見ると不憫だわ」
ナナミが遠い目でユータを見る
「てゆーかマリコもやり過ぎじゃない…」
「ごめ~ん、ちょっと面白くて」
ナナミとマリコは「あははは」と渇いた笑いを挙げています
これでもナナミとマリコは普段から仲もよく、頻繁に一緒にいます
二人とも成績はよく、魔法の実力もなかなかあるのです
タケルの頭をぺしぺし叩くナナミに向かってタケルは言います
「まあ、俺のことは置いといて……これじゃ演習になってなくないか?俺とユータはほっといて別の奴らと戦って来いよ」
「タケルはどーするのよ」
「昼寝でもしてる」
「もう!そんなだから皆から馬鹿にされるんじゃない!」
「あれ?心配してくれてんの?」
タケルがニヤニヤしながら言うと、ナナミは頬を赤くしてます
「ば……ばか!誰が心配なんかするもんですか!行こっマリコ」
「ふふ……ナナミってわかりやすいよね」
「なな何言ってんのよアンタまで…」
顔を伏せながらマリコの手を引き、ナナミは小走りで逃げていきます
それをしばらく後ろから眺めていたタケルだが、ふと立ち上がりユータのそばへ行きました
「起きろタコ」
「何とでも言え。俺は燃え尽きたのさ」
「今のでさらに引いたわ」
ユータは、よっ…と立ち上がり、身体の汚れを払う
「ったく、これがあの“雷神”とは思えねえな」
「俺は愛に生きるんだよ。自分のメンツよりも自分の気持ちに正直に生きたいんだ」
ぐっと拳を握りながら暑苦しく語るユータ
タケルはそれを冷めた目で見ていた
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