始動

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とりあえず俺は教室の前まで移動した。 すると、ドア窓の向こうにはいつもの見慣れた光景が広がっていた。 教室ではクラスメイトが賑やかに朝礼を待っている。 それを見て俺は少し安心した。 ガラガラガラ…… 聞き慣れた音を鳴らしながらドアがスライドさせると皆の視線が俺に集まったが、またすぐに自分達の世界に戻っていった。 「おう島津」 すぐそばで愛想のいい貴田がいつものように挨拶してきたが、俺は華麗に無視して自分の席に向かった。 窓側の一番後ろの席だ。 席について教室を見渡したところ、俺以外の連中は既に揃っているようだ。 !? ふと、黒板を見れば大きな字で『教室待機』と書かれている。 担任が書いたのだろうか、 それにしても何故俺達のクラスだけ…… 色々と考えながら俺は朝礼を待った。 担任はいつも朝礼の5分前には来ているが、今日はまだだ。 クラスの奴らもこれ見よがしに席を立ってお喋りしている。 毎日同じ相手と喋っていてよく飽きないものだ。←負け惜しみ こういう時、話し相手がいない俺はたいてい机に伏せて待機する。 1日は長い、体力は温存するに限る。
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