eight.

20/27
前へ
/539ページ
次へ
何か話してよ… 駅から出ると、住宅街の方に向かって2人は歩き出した。 少し前を歩く朔の後ろをついて行く。 しばらくすると、カチッという音がして、頭上に白い煙りが筋になって上がっていった。 空中に煙りを吐く音だけが時折聞こえる。 「…ねぇっ」 朔は望の声に、顔を横に向けると、 「あ?」 「…あの日…なんでうちの教会にいたの?」 初めて会った日 怪我をして、 教会にいた あの歌を歌って… 「…たまたま。」 「たまたまって…」 「あそこなら見つからないと思ったから。」 「追われてたの!?…そう言えば昨日も『見つかった』って、雨の中走らされた。…あっ!!もしかして、警察!?何したの!?」 一気にまくし立てる望に、朔はため息をつくと、 「…警察じゃねぇよ。」 「じゃあ、何っ!?」 早歩きで朔に追いつくと、前に回り込んで顔をのぞき込むように見上げた。 「…ヤクザ。あんたの嫌いな。」 .
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

704人が本棚に入れています
本棚に追加