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何か話してよ…
駅から出ると、住宅街の方に向かって2人は歩き出した。
少し前を歩く朔の後ろをついて行く。
しばらくすると、カチッという音がして、頭上に白い煙りが筋になって上がっていった。
空中に煙りを吐く音だけが時折聞こえる。
「…ねぇっ」
朔は望の声に、顔を横に向けると、
「あ?」
「…あの日…なんでうちの教会にいたの?」
初めて会った日
怪我をして、
教会にいた
あの歌を歌って…
「…たまたま。」
「たまたまって…」
「あそこなら見つからないと思ったから。」
「追われてたの!?…そう言えば昨日も『見つかった』って、雨の中走らされた。…あっ!!もしかして、警察!?何したの!?」
一気にまくし立てる望に、朔はため息をつくと、
「…警察じゃねぇよ。」
「じゃあ、何っ!?」
早歩きで朔に追いつくと、前に回り込んで顔をのぞき込むように見上げた。
「…ヤクザ。あんたの嫌いな。」
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