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朔はサラッとそう言うと、再び歩き出した。
ドキンッて…なった…
けど…
なんだか…
「…それは嫌。」
「あー?なんて?」
数歩先を行く朔が背伸びをしながら、顔だけ振り返る。
「それはっ嫌!!」
暗い住宅街に望の声が響き渡る。
朔は振り返っていた顔と、伸ばしていた手を元の位置に戻した。
「…それは…なんとなく嫌だ。」
「…なんとなくって…」
背中を向けたまま朔が、ポツリと呟く。
「…だって……痛いよ?」
「…なんだそりゃ。」
理由は分からないけど、
胸が辺りがギューッてなって、
口がプルプルしてきて、
目が熱くなって、
なんか、泣きそうだ
「…だって…だって…死んじゃうかもよ?」
朔の背中が大きく上下し、息を吐き出したのがわかる。
そして、
暗い夜空に、ぼんやり浮かぶ白い月を仰いだ。
「…いいんだつぅーの。…誰も気にしねぇよ。」
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