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「なぁーにっ?これっ!!」
「あっ!千佳っ」
頬杖をついて、ぼーっとしていた望の手から、
「鍵?」
「あーっダメダメッ!」
慌てて千佳の手から、小さな鍵を取り戻すと、望はスカートのポケットにしまい込んだ。
「どこの鍵ー?」
「これは…」
昨日の別れ際、朔から手渡された、小さな鍵。
ライブハウスのスタッフ出入り口の鍵で、今日はバイトが休みの望が、学校から直接に行けるように預かっていた。
『明日、少し遅くなると思うから。』
『え?』
朔が差し出した右手のグーの中には、少し錆びた小さな鍵。
『先に入ってろ。』
まるで、合い鍵みたいなそれを朝からぼんやり見つめていた。
「で、どこの?鍵?」
「えっ!?えーと…教会!教会の屋根裏っ」
「屋根裏ー?」
全く信じていない声と顔で、千佳は望の目を覗き込む。
「…まさか、この前のイケメンじゃないよね?」
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