two.

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「望っ、今日もバイト?」 外を眺める望の目の前に、目をくるくる動かしながら千佳が顔を出した。 「えっ?あぁ…うん。」 「なーんだ。」 残念そうに、口を尖らせる千佳に、 「何?」 「バスケ部っ!…新一年生に可愛い子いないか、一緒に見に行こうと思ったのにぃ。」 だだっ子のように頬を膨らませる千佳の横に、バスケットボールを持った健人が顔を出し、鞄を肩にかけた。 「お前なぁー、んな理由で来るな。」 帰り支度を整え、呆れた表情の健人は、机に腰掛けると、 「結城さんとの試合が控えてんだから、キャーキャー騒ぐなっての。」 「…ゆうきさん?」 首を傾ける望に、 「あれーっ、望に言ってなかったっけ?」 千佳は健人からヒョイとボールを取り上げて、 「新一年生の歓迎試合っ。バスケ部恒例のっ!それに、プロのバスケプレーヤーの結城さんが来るのよー?」 肩を持って、望をグワングワン揺らす千佳は興奮した状態のまま続けた。 「ほらっ、いたじゃん?2こ上で、かっちょいい先輩っ!覚えていない?」
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